「出社すれば、アイデアは生まれる」のか?——Flagshipがフルリモートでも、あえて集まる理由
こんにちは、FlagshipのChief of Staff、Harukaです。
最近、「出社回帰」という言葉を目にする機会が増えました。リモートワークでは生産性が下がる。同じ場所に集まったほうがコミュニケーションが活発になる。何気ない雑談から、新しいアイデアが生まれる。こうした話には、確かに一理あります。
実際、対面だからこそ拾える情報があります。表情を見れば「何か困っていそうだ」とすぐに気づけたり、普段仕事で接点のない人とたまたま話したことが、別の視点を得るきっかけになったりすることもあります。
では、「出社さえすれば、コミュニケーションが増え、仕事が加速し、創造的なアイデアが生まれる」のか。私たちは、そこまで単純ではないと考えています。
この記事でわかること
- 「出社すれば生産性が上がる」という議論の、どこまでが本当なのか
- 同じ場所にいることと、コラボレーションが生まれることの違い
- 対面でしか得にくい「関係性の貯金」という考え方
- Flagshipがリモートワークを主体的に選び、それでも定期的に集まる理由
- 「毎日会う」と「必要なときに会う」を分けて考えるということ
「出社すれば生産性が上がる」は、本当なのか
2026年9月12日にNewsPicksで公開された「【注目研究】組織の生産性を下げる『本当の敵』が見つかった」では、複数の企業で進む「出社回帰」を入り口に、在宅勤務と生産性の関係について取り上げています。
働き方については、「オフィスに集まったほうが生産性が高いはず」「リモートのほうが集中できるはず」といった感覚的な議論になりがちです。しかし重要なのは、「出社か、リモートか」という形式そのものを答えにしてしまわないことではないでしょうか。
本当に生産性を左右しているものは何なのか。どんな仕事に、どんな環境が適しているのか。そして、何を解決するためにその働き方を選ぶのか。そこから考える必要があります。
同じ場所にいるだけでは、コラボレーションは生まれない
オフィスに全員を集めても、それぞれがイヤホンをして自分の仕事に集中していたら、オンラインで働いている状態と本質的にはそれほど変わらないかもしれません。また、オフィスにいるのに、一日中オンラインミーティングに向き合っている同僚を見かけたことはありませんか。会議室を移動する合間に偶然始まった雑談のすべてが、新しいアイデアや業務上の連携につながるわけでもありません。
むしろ「いつでも話しかけられる環境」は、集中して考えたい人にとっては割り込みが増え、ディープワークが分断される環境にもなり得ます。つまり、物理的に近くにいることと、心理的・組織的に近くにいることは別物です。
大切なのは、「どこで働いているか」よりも、情報が共有され、互いの状況が理解でき、必要なときに必要なコミュニケーションを取れる状態がつくられていることではないでしょうか。出社は、アイデアを勝手に生み出してくれる「自動発生装置」ではありません。一方で、だからといって対面で働くことの価値まで否定したいわけでもありません。
対面だからこそ生まれるものもある
オンラインでは得にくく、対面だからこそ得やすいものがあります。たとえば、相手の表情や雰囲気から「何か困っていそうだ」「今なら話しかけてもよさそうだ」といった微妙な文脈を瞬時に読み取ること。普段は別のプロジェクトで働いている人と、休憩時間や移動中に偶然話し、それまで自分にはなかった視点に触れること。
仕事そのものについて話さなくても、一緒に食事をしたり、何気ない会話をしたりすることで、「この人にはちょっと相談してみても大丈夫そうだ」という感覚を持てるようになることもあります。
こうしたことは、その場ですぐ成果として見えるものではありません。しかし、一度つくられた関係性は、その後のSlackやオンラインミーティングでのコミュニケーションをスムーズにしてくれます。対面の場には、仕事を直接高速化するというより、その後の協働に必要な「関係性の貯金」をつくる力があるのかもしれません。
Flagshipがリモートワークを選んでいる理由
Flagshipでは、全国から働けるリモートワークを基本としています。オフィスを利用することもできますが、毎日の出社を前提にはしていません。
これは単なる福利厚生でも、「出社しなくても仕事ができるから」という消極的な選択でもありません。私たちは、働き方についての考えを「リモートワーク憲章」として言語化しています。
そこでリモートワークを、制約のある働き方や消去法的な選択肢ではなく、価値創造やイノベーションを最大化するために主体的に選択する働き方として位置づけています。
深く考えたいときは、自分が一番集中できる場所と時間を自分で選ぶ。考えを整理してからテキストで共有し、情報を後から検索・参照できる状態にする。一方で、複雑な議論や感情の共有、探索的な会話が必要ならオンラインミーティングを使う。そして、「会ったほうが前に進む」と判断するのであれば、オフライン会議やプチ合宿をサッと設定・合意する。
リモートワークだから、何が何でもオンラインで完結させなければならないわけではありません。大切なのは、仕事の目的に合わせて最も適したコミュニケーション手段を選ぶことです。
それでも私たちが、定期的に「集まる」理由
Flagshipのメンバーは、全国さまざまな地域から働いています。普段はSlackやオンラインミーティングを中心に仕事を進めていますが、その一方で、四半期ごとにメンバーが東京に集まる全社イベント「Get Together」を開催しています。
ただし、目的は「普段会っていないから、とりあえずみんなで集まろう」ではありません。せっかく同じ場所に集まるのであれば、オンラインでは得にくいものを得られる時間にする。
そのため、これまでのGet Togetherでも、普段の業務とは異なるテーマのワークショップやチームアクティビティなどを取り入れてきました。お互いの仕事の進め方を知ること、普段あまり話すことのないメンバーと会話すること、会社が大切にしている考え方について同じ場所で一緒に考えること。そうした時間を意図的につくっています。
(写真上から:LEGO® SERIOUS PLAY® を使ったワークショップ、オフィス周辺をめぐるスタンプラリー、ペーパータワーチャレンジ)
リモートで働いているからこそ、久しぶりに会ったときには自然と会話も生まれます。日常的に同じオフィスにいる状態とは異なり、「せっかく会えたから話そう」という意識も働きます。この「久しぶりに会うこと」自体が、交流を生みやすくしている面もあるのではないかと考えています。
そして、その日に生まれた会話や関係性は、その後それぞれの場所で仕事に戻ってからも残っていきます。「この前の話なんだけど」「ちょっと相談してもいい?」とSlackで声をかけるハードルが少し下がる。それこそが、私たちがオフラインで集まることに期待している価値の一つです。
「毎日会う」と「必要なときに会う」は同じではない
ここで重要なのは、対面の価値を認めることと、毎日の出社を必要とすることは同じではない、ということです。
一人で数時間集中して設計や実装をする仕事、じっくり考えて文章を書く仕事、ドキュメントを読み込み自分の考えを整理する仕事。こうした仕事にとっては、割り込みが少なく、本人が最も集中できる環境を選べることのほうが重要な場合があります。
一方で、まだ言葉になっていない考えを一緒に整理したい、チームとしての方向性を議論したい、互いの人柄や考え方をもっと知りたい。そういう目的であれば、同じ場所に集まる価値は大きくなります。
だからこそ、私たちは「出社するか、リモートにするか」を制度として二者択一で考えるのではなく、仕事やコミュニケーションの目的から逆算することを大切にしています。
大事なのは「リモートか、出社か」ではなく、どう設計するか
私たちは、リモートワークがすべての問題を解決するとも、オフィスに集まることに意味がないとも考えていません。リモートには、場所に縛られず働けること、集中する時間を確保しやすいこと、さまざまな地域から仲間が集まれることなど、多くのメリットがあります。同時に対面には、表情や空気を含めた高密度な情報交換や、偶然の出会い、人間関係を深める力があります。
問題は、どちらを選ぶかではありません。それぞれの強みを、何のために、どう使うか。
毎日集まれば、自然に組織が強くなるわけではない。フルリモートにすれば、自然に自由で生産的な会社になるわけでもない。必要なのは、コミュニケーション、情報共有、集中、対話、そして人間関係を、それぞれ意図的に設計することです。
Flagshipのリモートワーク憲章では、「物理的な可視性」や「時間の消費」ではなく、生み出される価値と築かれる信頼を重視する考え方を掲げています。
私たちが目指しているのは、単に「どこにいても働ける会社」ではありません。
一人で集中したほうがいいときには、一人で。
オンラインで十分なら、オンラインで。
会ったほうがいいなら、ちゃんと会う。
そして会うのであれば、「集まること」そのものを目的にせず、その時間にしかつくれない対話や関係性をつくる。働く場所を決めることより、働き方そのものを設計し続けること。それが、Flagshipが考えるリモートワークです。
Flagshipでは、全国から一緒に働くメンバーを募集しています。私たちが大切にしている働き方やカルチャーについては、以下もぜひご覧ください。